大阪万博とリュウジさんで話題のグヤーシュとは?ハンガリー在住者が解説

ブダペストの王宮の傍にあるAranybastyaレストランのグヤーシュスープ

最近、料理研究家でYouTuberのリュウジさんの動画をきっかけに、ハンガリー料理の「グヤーシュ(Gulyás)」が話題になっていることを知りました。

グヤーシュといえば、ハンガリーを代表する料理のひとつ。
「ハンガリー料理といえば?」と聞かれたとき、真っ先に名前が挙がることの多い、いわば“ザ・ハンガリー料理”です。

本宮愛栞(もとみや あいか)

一見すると煮込み料理やカレーのようにも見えますが、本場ハンガリーのグヤーシュはスープとして親しまれています。

この記事では、ハンガリー在住の立場から、グヤーシュとはどんな料理なのか、現地ではどのように食べられているのかを、日常の食文化や実体験を交えながらご紹介します。

ハンガリー旅行や現地の食文化に興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてください🎉

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本宮愛栞(もとみや あいか)
旧名「りり」でブログを書いてきました。

🌏 ブダペスト在住20年。世界50カ国以上を旅した1人旅好き。
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目次
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グヤーシュとは?ハンガリーを代表するスープ料理

大きなお皿にたっぷりはいったグヤーシュスープ。ホルトバージ国立公園のレストラン名がお皿に書かれている
ホルトバージ国立公園でいただいたグヤーシュスープ
ボリュームたっぷりなので、メインディッシュとしてオーダーする人もいます

グヤーシュ(Gulyás)は、ハンガリーを代表するスープ料理で、現地では「グヤーシュレベシュ(Gulyásleves)=グヤーシュスープ」とも呼ばれています。

赤い色合いが印象的ですが、これはトマトソースではなく、パプリカパウダーによるもの。
パプリカは緑色の状態から熟すにつれて赤くなる野菜で、完熟した赤いパプリカを乾燥させ、粉末にしたものが料理用のパプリカパウダーです。

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「パプリカといえばハンガリー」と言われるほど、パプリカはこの国の象徴的な存在です。

パプリカからビタミンCが発見された研究が、後にノーベル賞として評価されたこともよく知られています。

可愛いパッケージにはいったパプリカパウダーのセット。パプリカの絵柄が描かれている
お土産屋さんで販売しているパプリカパウダー
辛いパプリカと、辛くないパプリカがあります
グヤーシュスープは辛くないパプリカパウダーで作って、好みにあせて辛みは後から追加するのが一般的です

グヤーシュの具材は、牛肉、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもなどが基本で、伝統的にはcsipetke(チペトゥケ)と呼ばれる小さなパスタが加えられます。
スパイスとしてキャラウェイ(和名:ヒメウイキョウ)が少量使われ、ほんのりスパイシーで独特の香りが、グヤーシュらしい風味を生み出しています。

赤い見た目ですが辛くはなく、時間をかけてゆっくり煮込むことで、パプリカの香りと旨みがじんわりと広がる、素朴で味わい深い一杯に仕上がります。

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唐辛子ペースト(erős pista)や生の唐辛子(erős paprika)を別に用意し、好みに合わせて辛さを足すのが一般的です。

ラード(豚の脂)を使って作られることが多いため、スープでありながらコクがあり、しっかりとお腹にたまるのも特徴です。

グヤーシュの語源は「牛飼い(gulyás)」

ハンガリーの牛飼いとその後ろを歩く灰色牛たち
牛飼いの衣装を着た人と、長い角が特徴的なハンガリーの灰色牛
画像引用元:Videki Elet

グヤーシュ(Gulyás)という名前は、もともと「牛飼い」を意味する言葉です
ハンガリーの大平原で家畜を放牧していた人たちが、野外で大鍋を使って作っていた素朴な煮込み料理
が、その起源とされています。

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牛肉と玉ねぎを水で煮込み、温め直しながら食べられる、屋外で働く人々にとって理にかなった料理でした。

パプリカがハンガリーで広く使われるようになった18〜19世紀以降、この牛飼いのスープにパプリカが加わり、現在のような赤いグヤーシュになりました。

ちなみに、「グヤーシュ」は苗字としても一般的なので、ハンガリーを旅していたら「グヤーシュさん」に会うことがあるかもしれません。

キャンプでも・家庭でも・レストランでも食べられる料理

大きなボグラーチがぶらさがっていて、中には赤いグヤーシュスープがたっぷり。下は焚き火
大鍋ボグラーチに入った大量のグヤーシュスープ

牛飼いたちの野外料理として生まれたグヤーシュは、今でもキャンプや屋外で、Bogrács(ボグラーチ)と呼ばれるお大鍋使って作られることの多い料理です。

本宮愛栞(もとみや あいか)

料理研究家のリュウジさんのYouTube動画でも、ハンガリー人のオットーさんとお母様が、ボグラーチでグヤーシュを作る様子が紹介されていました。

家庭で作るグヤーシュは、具材の種類やスパイスの配分にその家なりのこだわりがあり、家族それぞれの個性が出る様子。

ハンガリーのレストランでは、特に観光客の多いエリアでは、ほぼ必ずと言っていいほどグヤーシュスープがメニューに並んでいます。
昔ながらの素朴なグヤーシュから、少しモダンにアレンジされたおしゃれな一皿まで、さまざまなグヤーシュに出会えるのも楽しみのひとつです。

前菜としても、食事としても楽しまれるスープ

グヤーシュはスープ料理のため、一般的には前菜としてメニューに載っていることが多いです。
ただし、具だくさんでボリュームがあるため、スープだけでお腹がいっぱいになってしまうことしばしば。

本宮愛栞(もとみや あいか)

レストランで注文する前に、グヤーシュスープの器の大きさをウェイターさんに確認しておくと安心です。

一方で、グヤーシュスープをメイン料理として食べるのもまったく問題ありません。
レストランによっては、グヤーシュスープを小・大のサイズで用意していることもあります。

ハンガリーでは、「スープ+デザート」だけで食事を済ませる人も意外と多く、グヤーシュもそんな食べ方ができるスープのひとつです。

ハンガリー周辺諸国ではシチューのような料理(Goulash「グーラッシュ」)

ブラチスラバの「グラーシュ」の画像。シチューのようで、パンのようなダンプリングが添えられている
スロバキアの首都ブラチスラバでいただいた鹿肉のグーラッシュ
付け合わせのパンのダンプリングとよくあって美味しかったです

グヤーシュはハンガリーで生まれた料理ですが、周辺の中欧諸国へ広がる過程で、それぞれの食文化に合わせて姿を変えていきました。

本宮愛栞(もとみや あいか)

グヤーシュはハンガリーではスープ、周辺国ではシチューという違いが生まれました。

英語では「Goulash(グーラッシュ)」という表記が一般的です。

周辺国で食べられているグーラッシュは、水分が少なく、とろみのある煮込み料理として、ダンプリングなどの付け合わせと一緒に提供されるのが一般的です。

個人的には、ハンガリー国外で食べるシチューのような「グーラッシュ」もすごく好きです。

チェコで出てきた「グラーシュ」。ソースがたっぷりのシチュースタイルで、じゃがいものダンプリングが添えられている
チェコの首都プラハで注文したグッラーシュも、ソースたっぷりでした
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ハンガリーでグヤーシュを食べるなら?レストラン選びのヒント

ブダペストの軍出るレストランのテラス席でサーブされたグヤーシュスープ
1894年創業の老舗レストラン「グンデル」で提供されているグヤーシュスープ
伝統料理を現代的に仕上げた一皿です

グヤーシュスープはハンガリーではとても一般的な料理で、ブダペストなどの観光エリアであれば、提供しているレストランは数多くあります。

実際にレストランを訪れるタイミングで、メニューと最新の口コミを確認すれば、大きく外すことはありません。

本宮愛栞(もとみや あいか)

グヤーシュスープは観光客の注目度が高いので、レストランのレビューで「ここのグヤーシュはピカイチだった」「思ったよりあっさりしていた」といった書き込みをよく見かけます。

ちなみに、これまで私がブログで紹介してきたレストランの中にも、グヤーシュスープを提供しているお店はいくつかあります。

グヤーシュスープを実際に食べたレポートではありませんが、お店の雰囲気や立地なども含めて、レストラン選びの参考になればと思います。
気になる場所があれば、ぜひチェックしてみてください。

ハンガリーの老舗有名レストランです。

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まとめ|グヤーシュはハンガリーの日常に根付いたスープ料理

ブダペストのグンデルレストランのグヤーシュスープ
グンデルのグヤーシュスープ

グヤーシュスープはハンガリーを代表する料理で、大平原で家畜を放牧していた人たちの煮込み料理がルーツといわれています。
ハンガリー料理には欠かせないパプリカパウダーを使った、赤くてコクのあるスープです。

キャンプや屋外で大鍋いっぱいに振る舞われることもあれば、高級レストランで洗練された一品として提供されることも。
家庭ではそれぞれのこだわりがあり、味付けや具材も少しずつ異なります。

ハンガリー周辺の国々では「グーラッシュ(Goulash)」と呼ばれ、とろりとしたシチューのようなスタイルで食べられるのが一般的です。

ハンガリーを旅する機会があれば、メニューで「グヤーシュ」を見かける場面はきっと多いはず。
ぜひ一度、本場ハンガリーで親しまれている、スープとしてのグヤーシュを味わってみてください。

ハンガリー料理についてもっと知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

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